ゴルディロックス相場とは何か
ゴルディロックス相場とは
適温相場とは、過熱しすぎでもなく、かといって冷めてもいない適度な相場のことを言います。心地よい相場って感じですね。
適温相場は、ゴルディロックス相場とも言われます。英国の有名な童話の「3匹のくま」に出てくる「熱くもなく冷たくもないスープ」を例えたものです。
この童話の主人公の少女の名前が、ゴルディロックス(Goldilocks)であることに由来しています。ちなみに、Goldilocksとは金髪という意味で、gold(金)とlock(髪)からできた言葉です。
経済が、過熱せず冷めすぎてもいない心地よい状況を指して、ゴルディロックス経済とも言われます。感覚的には、緩やかなインフレが継続し、緩やかな経済成長が続いている、程良い状態を指しています。
このようなゴルディロックス状態のときは、景気の緩やかな回復と金融緩和策の継続期待が相まって、資金が安全資産からリスク資産へと流入し、相場を押し上げると考えられます。
もちろん、適温相場はいつまでも続く訳ではなく、金融政策の変更や景気サイクルに合わせて、次のステージに変わっていきます。
さて、ここ最近、ゴルディロックス相場、適温相場、ゴルディロックス経済という言葉が、日米のメディアで良く使われています。
ここ数年の世界の経済状況を見渡すと、企業業績が改善し、緩やかな景気回復が期待されている中で緩やかなインフレが上手く共存しています。まさしく、ゴルディロックス経済です。これを反映している株式市場は、ゴルディロックス相場や適温相場と呼ばれています。
ゴルディロックス相場と金利の関係
なぜ投資家にとって、この状況が適温相場になるのか、簡単に解説します。
例えば、いま日本株に投資した場合、株式益回りが年率で3%だとします。ここで、株式益回りとは、単純に株式投資での利回りと考えて頂いて問題ないです。
正確には、株式益回りとは、1株当たり税引利益(1株当たり純利益)を株価で割ったものを言います。つまり、株価収益率(PER)の逆数(1/PER)となっており、株式投資に利回りの概念を取り入れたものです。
この時、日本国債10年物の金利が5%あれば、日本株を売却して日本国債を購入する投資家が増えると考えられます。当たり前の話です。
しかし、株式益回りが時間の経過とともに変動するのに対して、国債は満期まで保有すれば毎年5%の利子と元本が保証されるので、低リスク資産として中長期的での運用がしやすいのです。
反対に、国債のような低リスク資産から想定する運用益が上げられない場合、投資家は国債を売却して株式のような高リスク資産にシフトしていきます。
世界の金融市場を見渡すと、主要先進国の国債10年物の金利がいずれも3%に満たないということが起こっています。つまり、国債での運用ではなく、株式での運用にシフトしているのです。
現在、世界中の株式市場が活況なのは、このような理由とも言えますね。
ここで、投資家にとって心地よい適温とは、株価が上昇トレンドを描きながら、金利が安定することです。
一般的に、株価が上昇しやすいのは景気が底をつきはじめ、企業業績が改善し、過去最高益のような言葉が躍り始めた時です。そんな局面では、物価や賃金の上昇などを通じて市場金利も上がりやすくなります。そうすると、中央銀行(日本なら日本銀行、米国ならFRB)はインフレの過熱を抑えるため、政策金利の引き上げを考えます。
そうすると、金利の上昇によって国債の魅力が高まり、株式の魅力が薄まります。その結果、株価は調整を余儀なくされるということです。しかし、今回の景気回復局面では様々な要因が重なって、株式市場は高値圏維持、国債金利は低位安定という状態が続いています。
最も影響力のある米国市場を見るとお分かりいただけるように、米国金利の低位安定の背景には、主として日本・欧州の低金利を嫌った投資マネーが、いち早く利上げに向かっている米国債へと流れ込んだ結果、米国の長期金利を低く抑えられてきたのです。
言い換えると、このような相場環境があったため、投資家は株式市場の緩やかで長期にわたる上昇トレンドに乗ることができた、ということです。
これがゴルディロックス相場とか適温相場とが呼ばれる所以になります。
まとめ
ゴルディロックス相場とは、如何でしたでしょうか?
ゴルディロックス相場とか適温相場って言葉の響きも心地良いですね。朝、目覚めて、カーテンを開けた時に差し込む朝日のようです。笑
金融関連の指標はたくさんありますが、最も重要なのは金利です。
ホント、金利はいろんなところにさりげなく影響を与えているのです。適温相場やゴルディロックス相場の裏にも金利が存在することがお分かり頂けたと思います。
もちろん、金利はマクロ指標なので、エントリーポイント等のミクロ的な分析には使えませんが、そこは上手く融合させたいですね。そうすると、相場の転換点が狙えますから。転換点で上手く仕掛けることができれば、大きな利が乗ります。我々、個人投資家はこれに焦点を当てたいですね。
適温相場はいつまでも続く訳ではなく、そのうち終焉をむかえます。過去を振り返ると、適温相場はバブルの最終段階に登場します。笑
ちなみに、現在の世界の株式市場を見渡すと、バブル的上昇を演じています。米国株式市場なんかは歴史的な上昇を演じています。
そんな米国株式市場ですが、2018年2月5日に長期金利が上昇したことで、株式市場は暴落に見舞われました。その後は、持ち直しているのですが、2018年の半ばから後半にかけて、恐ろしいほどの下落がやってくるかもしれません。
そう確信する根拠は、米国10年債の利回りが、長年続いた下降トレンドから上昇トレンドに転換しました。超重要なサインです。
つまり、滅茶苦茶エキサイティングな相場が待っている可能性が高いです。なので、今後のチャート分析はしっかりとしていきたいものです。
最後に、金利関係の分析指標を2つ紹介します。
1、イールドレシオ
イールドレシオとは、長期金利を株式益回りで割ってものを言います。
イールドレシオ=長期金利÷株式益回り
一般的に、長期金利と比べた、株式相場の水準の相対的な投資魅力度を判断するための指標として使われます。イールドレシオが小さいと株式市場に割安感があり、反対にイールドレシオが大きい場合は株式市場に割高感があると言えます。
例えば、長期金利が2%で、株式益利回りが4%であれば、この値は2%÷4%=0.5倍となります。ここから株式益回りが2%に低下すれば、この値は2%÷2%=1倍に上昇し、割高感が増すことになりますね。これを時系列データのして、相場の転換点を探るのです。
2、イールドスプレッド
イールドスプレッドとは、長期金利から株式益回りを引いたものを言います。
イールドスプレッド=長期金利-株式益回り
イールドスプレッドは計算式からもわかりますように、シンプルに長期金利から株式益回りを引くだけです。長期的な視点においては、株式市場の水準が割安なのか割高なのかを判断するというよりかは、相場の転換点に当たりをつけるという感じです。
金利分析はかなり難しいし、退屈ですが、とっても重要です。でも、大きな利益を呼び込むためのツールなので、何とか使えるようになりたいですね。