成長株の見つけ方はヒストリカル分析をするだけ

成長株とは、業績が良く、さらなる成長が見込める株式のことを言います。具体的には、直近IPOと言われるような銘柄と考えていいでしょう。
成長株と呼ばれる企業は、売上高や利益などが右肩上がりとはなっていなくても、今後大きく成長していくと考えられ、株価が大きく上昇することがあります。
この上昇を狙うのが成長株投資です。成長株は、AIなどの最先端技術企業やトレンド系の企業が多いのが特徴です。
なので、成長株は短期間で2~3倍という上昇演じることはよくあることです。たまにですが、10倍以上になる大上昇を演じる成長株も登場します。
大きく成長した2016年のマザーズ銘柄を分析する
おすすめの成長株や成長株の見つけ方、スクリーニング法について解説する前に、マザーズ市場について解説します。
なぜなら、成長株の多くはマザーズ市場から登場しているからです。
東証マザーズ市場は、今後の拡大・成長が期待される新興企業が中心の株式市場です。
東証一部上場銘柄とは違い、マザーズ銘柄は株価が大きく変動する傾向があります。数カ月程度の短期間で株価が2~3倍になることも珍しくなく、中にはテンバガー(Ten Bagger)と呼ばれる株価が十倍以上に値上がりする銘柄も登場します。
このマザーズ銘柄特有の大きな値動きを上手く利用すれば、効率的に大きな利益を実現することが可能です。
特に投資資金の少ない個人投資家にとっては、マザーズ銘柄は極めて魅力的な投資対象と言えます。
本記事では、2016年のマザーズ市場をしっかりと分析し、大きく株価が上昇した成長株と上昇時の値動きを紹介します。過去の値動きを知っておくことは、次の成長株を見つけるのに非常に有効ですから。
2016年のマザーズ指数を分析する

2016年の株式相場は、波乱の多い一年でした。年始からは、チャイナショックと呼ばれる中国市場での暴落に端を発し、世界の株式市場で暴落が起こりました。
日経平均は、大発会から6営業日連続で下落し、これは東京市場における大発会からの最長続落記録となっています。
2016年のマザーズ指数のチャートを見ると、マザーズ市場も、世界的なリスクオフの影響を受け、年始から大きく下落していることが分かります。2015年大納会の終値から暴落が終わる2月12日の安値まで、下落幅は日経平均が22%、マザーズ指数は25%となっています。
ところが、マザーズ市場は、2月12日にマザーズ指数が安値664.92ポイントを付けた直後から、突然上昇トレンドに転換します。
4月21日までの約2か月間、バブルの様相を帯びた強い上昇トレンドが発生し、マザーズ指数は、2月12日の安値から4月21日の高値まで、約85%上昇しました。
この期間が2016年のマザーズ市場で最も良好なトレード環境となりました。マザーズ銘柄の半数弱にあたるおよそ100銘柄が、2月上旬に付けた安値から直近の高値まで2倍以上に値を上げています。
春から夏にかけては、6月23日に予定されていたイギリスのEU離脱国民投票が懸念材料となり、世界の株式市場は再び弱気になります。
その流れを受けて、マザーズ市場も、6月に入ってから大きく下落しました。マザーズ指数は、英国EU離脱ショックにより6月24日には安値827.77ポイントをつけ、4月21日の高値から約33%の大きな下落を記録しています。
バブル的上昇の後だったため、この下落は、年初の下落よりも大きな値幅となっています。
イギリスの国民投票の影響で大きき下落した後、マザーズ市場は一旦反発するものの、今度は11月8日のアメリカ大統領選挙を控え、膠着状態に陥ります。
アメリカ大統領選挙を目前に控えた10月下旬からは再び軟調になり、大統領選開票日11月9日にマザーズ指数は安値798.86ポイントを付けます。下
落を始めた10月21日の高値967.15ポイントからは約17%値を下げています。
マザーズ市場は年の半ば長らく方向感のない相場が続きましたが、アメリカ大統領選を境に相場環境が改善します。
大統領選挙の開票日11月9日こそ大きく値を下げましたが、翌日から急反発していわゆる「トランプ相場」に突入します。
ただし、年末の相場は、東証一部の主要銘柄が大きな上昇を見せる一方で、マザーズ市場は、底堅くなるものの、もみ合い傾向の強い相場環境が続きました。
結果的には、マザーズ市場にとって2016年の年末は、2017年年初から始まる大きな上昇トレンドに向けての仕込み期間という位置づけになりました。
2016年に急騰した成長株を分析する

2016年に急騰したマザーズ銘柄を時系列で紹介します。
繰り返しますが、過去のチャートを振り返ることもチャート分析です。この過去のチャート分析(ヒストリカル分析)をしっかりと身に付けないと、次なる成長株に乗ることが出来ませんから。なので、成長株の値動き、チャートをしっかりと記憶してくださいね。
まず、チャイナショックが終息した2月以降、マザーズ市場はバブル的上昇相場となり、この時期には多くのマザーズ銘柄が2倍以上に上昇しました。
特に、ゲームアプリやAI技術関連の銘柄が、大きな上昇率を記録し、相場を牽引しました。
成長株銘柄 6176 ブランジスタ

2016年のマザーズ市場で最大の上昇率を記録したのが6176ブランジスタです。
ブランジスタは電子雑誌サービスを中心に行っている会社ですが、秋元康プロデュースのスマホゲーム「神の手」のサービス開始が材料となって急騰しました。
2月12日に安値1130円を付けた後、押し目を作ることなく、5月16日に高値15850円を付けるまで上昇を続けます。結局、3カ月という短い期間で約13倍に値を上げ、テンバガーになりました。
成長株銘柄 3624 アクセルマーク

この銘柄も、ゲームアプリ関連銘柄で、新作ゲームが話題となって株価が上昇しました。
チャイナショックが終息した2月12日に安値586円をつけた後、じりじりと上昇してゆきます。4月20日に材料が出て、そこからバブル的な急騰が起こります。4月28日には高値4710円をつけ、株価は約7倍まで上昇しています。
成長株銘柄 3793 ドリコム

同じくゲームアプリ関連銘柄である3793ドリコムは、ブランジスタやアクセルマークのような派手な急騰とは違い、じりじりと長い時間をかけて上昇してゆきました。
2月15日に安値392円をつけてから9月13日に高値1649円をつけるまで、7カ月間にわたって上昇トレンドが続き、この間に株価は約3倍まで上昇しています。
ドリコムの場合、株価サイクルの面では、2014年の初めから約2年間にわたる長期下降トレンドを経て、月足レベルでのトレンド転換となりました。
それが、この安定した上昇トレンド発生の一つの要因であったと考えられます。業績面では、同社が打ち出したIPゲーム戦略が市場で評価されたことが株価上昇の要因となりました。
夏場に入ってマザーズ市場全体はもみ合いとなりましたが、8月頃から個別の材料によって上昇トレンドに入る銘柄が現れています。夏以降に大きく上昇した銘柄として、6172メタップスや6079エナリスなどが挙げられます。
成長株銘柄 6172 メタップス

メタップスはAI関連の銘柄で、9月7日に大手ガス事業者「日本瓦斯」との資本業務提携を発表し、それが材料となって上昇を開始しました。
その後、10月17日発表の決算発表がポジティブサプライズとなって上昇に拍車をかけました。結局、メタップスは、7月29日につけた安値903円から、翌年1月5日に高値4485円をつけるまで上昇を続け、この間に株価は約4倍になっています。
成長株銘柄 6079 エナリス

エナリスは、新電力事業者支援サービスなど電力関連サービスを行っている企業です。
8月10のKDDIとの資本・業務提携発表を材料に急騰しました。7月29日につけた安値289円から9月26日の高値1398円まで、株価は約4倍にまで上昇しています。
年末のマザーズ市場は、トランプ相場が始まった影響で底堅くはなったものの、春のような強い上昇トレンドは発生せず、もみ合い傾向の強い相場となりました。
このような相場環境のなか、個別の材料で急騰した銘柄として、3689イグニスや6084オウチーノなどがあります。
成長株銘柄 3689 イグニス

イグニスは、ゲームアプリ関連銘柄です。
この銘柄は、6月から約3カ月間、下降トレンドに入っていましたが、9月20日に安値2058円をつけた後、じりじりと上昇を始めました。
その後、11月4日に発表した業績の上方修正がサプライズとなり急騰しました。9月20日の安値2058円から12月15日の高値12680円まで、株価は5倍に上昇しています。
成長株銘柄 6084 オウチーノ

オウチーノは、住宅情報サイトの運営を行っている企業です。
10月28日にクックパッド前社長の穐田誉輝氏が同社の発行済株式の過半数を取得すると発表したことが材料となって急騰が始まりました。
発表の直後5営業日で、株価は約3倍に上昇しています。その後も、翌年3月3日に高値5370円をつけるまで上昇トレンドが続き、その間に株価は約6倍に上昇しました。
結果的にみると、2016年の12月は、多くのマザーズ銘柄にとって、翌年の年初から始まる大きな上昇トレンドに向けての絶好の仕込み期間になりました。
年末から翌年前半にかけて大きな上昇トレンドを発生させた代表的な銘柄が2121ミクシィです。
成長株銘柄 2121 ミクシィ

ミクシィは、アメリカ大統領選があった11月9日に安値3425円をつけた後、翌年6月7日に高値7270円を付けるまで、7カ月間にわたって上昇を続けました。その間に、株価は約2倍になっています
ちなみに、2017年のマザーズ銘柄の分析はこちらから。
まとめ

2016年のマザーズ銘柄を分析する、如何でしたでしょうか?
2016年はチャイナショックに始まり、イギリス国民投票、アメリカ大統領選挙という大きなイベントが重なったこともあり、マザーズ市場は大きな下落と上昇を経験した一年となりました。
2016年のマザーズ市場の動きで特に注目すべき現象は、直前の暴落が大きな上昇トレンドのトリガーになっていることです。
春には、チャイナショックによる暴落終息から一転、バブル的な上昇トレンドが発生しました。
また、年末には、トランプショックによる急落後から、翌年年初の上昇トレンドに向けての初動が始まっています。
ここから得られる教訓は、外部環境が悪化し市場全体が暴落している時期にこそ、集中して相場を観察しておかなければならないということです。
マザーズ銘柄で大きな値幅を狙うには、暴落の終息を見極め、株価の安い時期に仕込んでおくことが大きなポイントになると考えられます。
一年を通してみると、年の半ばが長いもみ合い期間となったため、マザーズ市場が良好な相場環境にあった時期は極めて限定的でした。
しかし、2月12日から始まった上昇トレンドはバブル的な上昇となり、2~3カ月の間に株価が2倍以上になった銘柄が数多く現れました。
特にゲームアプリ関連の銘柄は大きな上昇率を記録しました。
したがって、2月から3月にかけて上昇初期の段階でしっかりとリスクを取っていれば、年間で大きな利益を出すことは十分に可能であったと考えられます。
もちろん、リスクを大きく減少させるにはエントリーのタイミングが重要です。そんなエントリーのタイミングをとるために重要なのが、移動平均線です。
移動平均線ってかなり使えるツールですので、ぜひ読み込んでください。
では、成長株で爆発的利益が転がり込むように!!