空売りのやり方

空売りのやり方をマスターすれば、収益機会も2倍になります。しかも、下落スピードは上昇スピードよりも速いので、空売りの方が効率的ともいえます。なので、空売りを怖がらず、ぜひ空売りのやり方を習得しましょう。

また、空売りをするには信用取引ですることになります。信用取引はレバレッジが利いて怖いというイメージがありますが、信用取引の最大のメリットは空売りが出来ることです。

信用取引をしている人でも、空売りをしている人の割合はかなり少ないというデータがあります。下落局面をじっと待ってやり過ごすのも良いですが、空売りで利益を狙ってみるのも面白いですよ。

そこで、空売りのやり方やそのコツ、さらには空売りの注意点も解説したいと思います。

空売りをする時には下降トレンドで

トレンドと同じ方向にポジションを取ることを「順張り」、トレンドと逆の方向にポジションを取ることを「逆張り」と言います。

相場には、「上昇トレンド」、「下降トレンド」、「もみ合い」という3つのパターンが存在します。上昇トレンド中であれば、“買い”から入り、高くなったところで手仕舞えば、利益を出すことが出来ます。

しかし、下降相場においてはどうしたらいいでしょう。“買い”から入ることは、もちろん可能ではありますが、無理に「逆張り」で挑んでも負ける可能性が高くなります。やはりトレンドに従って「順張り」のほうが勝つ確率も高くなり、同時に利幅も大きくなるといえます。

だからといって、上昇トレンドになるまでぼんやりと待っているほかないのでしょうか。そんなことはありません。下降トレンドにおいても「順張り」すればいいのです。

では、下降トレンドにおいて「順張り」するということは、何を意味しているのでしょう。そう、「空売り」をするということです。

株式投資においては、安く買って、高くなったら売るという取引が一般的です。しかし、それとは反対に、先に高くで売ってから、下がったらところを買い戻すという手法があります。これが「空売り」です。

「株を持っていないのに、先に売れるの?」という疑問がわきますが、マーケットとは非常に巧みな仕組みが整っているもので、個人投資家にも空売り出来る制度が用意されています。それが、「信用取引」です。

「信用取引は怖いと聞いたことがあるぞ」という方もいるかもしれません。確かに、使い方を間違えれば怖いものです。しかし、適切に利用すれば、大きな利益をもたらしてくれる非常に役に立つツールです。

信用取引なくして、下降トレンドで大きく勝つことは出来ません。この章をしっかりと読んで、信用取引の本質と空売りの手法を身につけましょう。

空売りもできる信用取引とは?

株式投資には、『現物取引』と『信用取引』とがあります。現物取引では、現金100万円では、100万円分の株式を買うことしか出来ません。また、株券を持っていないと売ることができません。

これに対し、信用取引では、証券会社に担保を差し入れ、その担保の許す範囲でお金や株券を借りて、売買を行うことができるのです。

ここでは、信用取引に関する最低限の知識を解説していきます。

信用取引には委託保証金が必要

委託保証金とは、信用取引をする際に証券会社に担保として預ける現金のことをいいます。細かい条件は各証券会社によって異なり、ネット証券では最低委託保証金が30万円からのところもあります。また、株式・国債・社債などの有価証券も、委託保証金として代用できます。

現金はその金額100%が担保評価額となりますが、有価証券の場合は代用掛目(各証券会社により決められている)で割り引かれた金額が担保評価額となります。東証1部上場銘柄なら、一般的に代用掛目は時価(前日終値)の80%です。

信用取引の委託保証金率

委託保証金率とは、約定代金の何%を委託保証金として必要とするのかという割合です。一般的には30%とされています。
(例)1500円×1000株約定=150万
150万×30%(委託保証金率)=45万円が委託保証金として必要

信用取引の委託保証金維持率

委託保証金維持率とは、信用取引においての建玉(買いポジション、売りポジション)に対して、担保として預けている割合のことです。

例えば、100万円の現金を担保として預け、信用取引で1500円の株を1000株買ったとします。1500円×1000株=150万円が建玉金額、そして、委託保証金維持率は、100万円÷150万円=66.66・・・%となります。

最低委託保証金維持率(法律で最低20%と規定)を下回った場合、原則2営業日までに追加証拠金(保証金)を差し出し、委託保証金維持率の回復が必要とされます。これが「追証」と呼ばれるものです。

信用取引では追証に注意

追い証とは、委託保証金維持率が最低委託保証金維持率を下回った場合に発生する、追加証拠金のことをいいます。

例えば、100万円の現金を担保として預け、信用取引で1500円の株を1000株買ったとします。1500円×1000株=150万円が建玉金額です。

ところが、購入した株が70円に値下がりしたとします。
(150円×1000株)-(70円×1000株)=80万円の含み損

この時点での担保としての現金は、
100万円(保証金)-80万円(含み損)=20万円(担保余力)
そして保証金維持率は、20万円÷150万円(建玉)=13.33・・・%となり、最低委託保証金維持率20%を下回り追証が発生します。

注意すべき点は、追証が発生した場合、最低保証金維持率の20%ではなく、保証金維持率の30%を回復させないといけないという点です。

この場合では、保証金維持率を保つ最低金額は150万円(建玉)×30%=45万円なので、不足分となる25万円以上の現金、もしくは相当する代用有価証券の差し入れが必要となります。

これを行わない場合は、証券会社により強制的に決済され、マーケットからの退場を余儀なくされてしまいます。

空売りするときには逆日歩に注意

逆日歩とは、証券金融会社での貸借受給状況で、貸株残が融資残を上回った場合に発生する費用のことです。簡単な言い方をすれば、「空売りをするのにかかるレンタル料」のようなものです。貸株不足な株ほどレンタル料は高くなります。

信用取引において、証券会社はまず、買い注文と売り注文を相殺します。売り建てが上回っている場合は、貸株を証券金融会社から調達します。それでも更に不足する場合は、銀行や保険会社などの機関投資家から株券を調達するわけです。ここで発生する品貸料を「逆日歩」といいます。

逆日歩は、借りる側、即ち空売りとして売り建てている投資家が負担します。

信用取引は、担保に対する貸付により売買する取引です。もちろん、借りるということには、期日・利息・担保価値等の条件が存在します。これらの信用取引のルールを守り、自己マネジメントを徹底すれば、短期売買には有効なツールとなります。

「関係ないからどうでもいい」ではなく、まずは信用取引の仕組みを知ってから、投資スタンスを選択するといいでしょう。知っていて使わないのと、全く知らないのとでは雲泥の差があります。

空売りに適した銘柄を探す

相場全体が下落している状況では、『くいっとチャート』の数はとても少なくなります。また、『くいっとチャート』を形成していても、地合いの悪い中では、すんなり上昇とはいかないものです。

そのような場合は、『がっくりチャート』をターゲットにしたトレンドフォローが有効です。つまり、空売りです。

下降トレンドにおいては、『がっくりチャート』が、絶好のエントリータイミングとなります。

信用倍率を見よう

信用倍率とは、信用取引の買残と売残の比率のことをいいます。「信用買残÷信用売残」で求め、何倍という数値で表します。

例えば、ある銘柄の信用買残が50万株・信用売残が25万株である場合、50万÷25万=2で、信用倍率は2倍となります。

信用取引では、空売りをしている「売り方」と、現金や保有株式などを担保に買い付ける「買い方」が存在します。空売りターゲットを選択する際には、その両方のバランスを見ることが大切です。

信用倍率が高いということは、買残が多いということであり、将来の売り圧力になって株価の上昇を鈍くする恐れがあります。信用倍率が高い状況を「信用取り組みが悪い」と言います。これは上値が重いという状態を表しており、言い換えると、「空売り」に適していると言えます。

逆に、信用倍率が低くなるほど「信用取り組みが良い」と言われます。6ヵ月期日内に反対売買による決済義務のある信用取引では、信用売残は将来の買い圧力にもなるので、売残の多い銘柄をあえて空売りする必要はないでしょう。

例を挙げて見てみましょう。

楽天証券のマーケットスピードでは、個別銘柄の信用取引に関する情報が画面で確認できます。この画面は、2010年2月26日のいすゞ自動車(7202:東証1部)の市況情報です。

この銘柄は空売りには適しません。市況情報の左下の点線で囲んだ部分を見てください。

一番上の信用貸借区分には『貸借』とあります。これは、この貸借銘柄ということを意味しています。空売りが出来る銘柄は、貸借銘柄に限定されていますので、まずは、ここを確認してください。

その下には、空売りするのにかかるコストを表す逆日歩があります。この画面では「0.05円」になっています。この銘柄は売買単位が1000株なので、1000株あたり50円の逆日歩がかかるということです。たとえば、2000株空売りすると、一日当たり100円の逆日歩を支払うことになります。

さらに、その下の信用倍率を見ると「0.6」となっており、信用売残が買残を大きく上回っています。前項で解説したように、「信用取り組みが良い」とされる状況です。

コストとリスクを軽減することが、株式投資においての基本です。

空売り初心者は、

●逆日歩の大小にかかわらず、逆日歩が発生している銘柄を空売りの対象にしないこと
●信用倍率が1.5倍以下のものは空売りの対象にしないこと

この2点を心掛けましょう。

これは、2010年2月26日のダイワボウHD(3107:東証1部)の市況情報です。

空売りに絶好の銘柄といえます。というのも、逆日歩がありません。信用倍率も10倍以上になっており、「信用買い」が「信用売り」を大幅に上回っています。

このような状況を、「信用取り組みが悪い」と言います。「信用買いは将来の売り手」になるので、信用期日内での売り圧力がかかりやすいと解釈します。上昇の可能性が低い銘柄を、空売りターゲットに選択しましょう。

これは、2010年2月26日のトヨタ(7203:東証1部)の市況情報です。日経225採用銘柄でもあり、日本市場を代表する銘柄です。

逆日歩がありませんし、信用倍率が2.70と一般的な倍率です。『がっくりチャート』が現れたら、売りから攻めていけるでしょう。

信用規制のある銘柄は空売りできない

相場が加熱してくると、それを抑えるという観点から、取引所・証券金融会社・証券会社などが、規制や注意を促す措置が加えられます。これを信用規制といいます。

2010年2月26日の三菱レイヨン(3404:東証1部)の市況情報です。信用規制を見ると、「新規売停止」になっています。

これは、三菱ケミカルホールディングス(4188:東証1部)による、完全子会社化に向けたTOB(株式公開買い付け)の実施が発表されたことによって、規制措置がとられたものです。もちろん、空売りはできなくなっています。

この他、信用規制には、「日々公表銘柄指定」「増し担保規制」などがあります。いずれにせよ、規制の入っている銘柄は、手を出さない方が無難です。健全な銘柄からターゲットを探しましょう。

空売りのターゲットはがっくりチャート

トレードの鉄則であるトレンドフォローというのは、上昇トレンドなら買い、下降トレンドなら売るということです。したがって、空売りのターゲットは、『がっくりチャート』ということになります。

では、具体的に見ていきましょう。

2009年9月2日のソニー(9101:東証1部)の日足チャートです。上から75日移動平均線(長期)、25日移動平均線(中期)、5日移動平均線(短期)の順番で、きれいな下降トレンドを形成しています。しかも、株価はすべての移動平均線の下にあり、5日移動平均線はがっくりと下向きです。

きれいな『がっくりチャート』が現れたので、絶好のエントリータイミングです

「日本郵船は優良銘柄だから、あまり下がらないだろう」などという思い込みや勝手な相場観は厳禁です。『がっくりチャート』になったら、売りを仕掛けるタイミングであると考えましょう。

信用取引の禁じ手

信用取引は、証拠金を担保に約3倍のレバレッジを利かすことのできる取引です。手元に100万円の現金しかなくても、300万円分の売買が可能です。

利益も大きいのですが、損をするときも3倍のレバレッジが利いてしまいます。世間では「信用取引は怖いもの」と位置づけられていますが、その理由はこうしたところにあります。

しかし、近年のネットトレードの普及により、より高度な短期売買手法が求められつつある投資環境において、やはり信用取引は使えるトレードツールとして身につけておきたいものです。

信用取引を使う以上、してはならない『禁じ手』があります。この禁じ手を封印すれば、とても効果的に活用できます。ここでは、その禁じ手について解説していきましょう。

含み損の許容

現物取引で買った株が値下がりしても、損切りをしなければ、含み損を永遠に許容し続けることになります。つまり、永遠に含み損を抱えたまま保有し続けることが可能です。

しかし、決済期日が決められている信用取引においては、その期日内に反対売買をして決済しなければなりません。

例えば、5月1日に信用取引で買い建てした場合、6ケ月後の10月末までに売って決済する必要があります。反対に、空売りしていた場合は買い戻しによる決済になります。

このように、信用取引においては、決済期日時点での含み損が実現損となるわけです。

したがって、意に反した動きになったら、迷わずロスカットです。初期の段階でいったん損失を確定させ、それ以上の損失の拡大を防ぎましょう。そして、次のチャンスを待つことが大切です。

2階建て

信用取引の担保には、現金のほかに保有している現物株式も証拠金の代用として差し出すことができます。

例えば、時価1000円の現物株式を1000株保有している場合、

1000円×1000株=100万円
100万円×担保評価額80%=80万円

なので、80万円の現金と同様に証拠金として活用することができます。

投資初心者にありがちな取引が、『2階建て』です。2階建てとは、担保として差し出した現物株式と同じ銘柄を信用買いすることを言います。例えば、新日鉄の現物株式を担保にして、信用取引で更に新日鉄の株式を買い建てることをいいます。

上昇すればとても大きな利益になるのですが、思惑とは反対に下降した場合、担保価値は減少、しかも信用取引での買い建てが含み損となり、ダブルパンチをくらいます。追証発生、もしくは追証発生までカウントダウンという状況です。これが、絶対にしてはいけない信用取引の「禁じ手」です。

ちなみに、証券会社では二階建て取引に対して独自の制限を設けているところが多いです。

空売りは信用取引でしかできない最大のメリット

空売りは信用取引でしかできません。空売りの面白さに取りつかれ、空売りだけを専門にしている投資家もいるほどです。ぜひ、空売りの面白さを体感してください。

レバレッジが怖いというのなら、レバレッジは効かさず、株式投資に充てる自己資金の範囲で売買すればいいのです。例えば、自己資金が100万円であるならば、信用取引では約300万円まで空売りすることが可能ですが、100万円以内の資金配分で空売りすればいいことです。最初から怖いと思うレバレッジを利かす必要はありません。

相場は「売り」と「買い」で成り立っています。“買い”という、ひとつの視点からだけでなく、“買い”と“売り”という両面から相場を見ることができれば、もうワンランク上の投資生活を送ることができるでしょう。

まとめ

空売りのやり方をマスターして下降トレンドに乗ろう!、如何でしたでしょうか?

空売りをマスターすれば下落局面を利益に変えることが出来ます。しかも、値動きのスピードは速いので、結果が出るのも早いです。そんな空売りをしないなんてもったいないですね。なので、日々相場を観察し、空売りの技術を磨いていきたいですね。

ABOUTこの記事をかいた人

ozayan

1969年大阪生まれ。 月に一度のペースで行くバンコクでも相場から目を離さないという相場好きである。 寝ても覚めても相場のことしか考えていないようだが、近いうちに塾生さんといく海外セミナーを目論んでいる。 大阪北新地界隈、バンコク によく出没する。