ロスカット実行力がプロとアマの大きな違い

相場の世界、ロスカットが出来るかどうかは、プロとアマの違いとも言われるくらい重要なものです。
しかし、そうは言うものの簡単に出来ないのがロスカットです。難しいところですね。
ロスカットルールってどうやって決めるの?
ところで、そもそもロスカットについて考えたことがあるでしょうか?
なんとなくわかってはいるものの、ロスカットルールの決め方や考え方を聞かれると答えられないですよね!?
ここでは、そんなロスカットについて解説していきます。
ロスカットについてのアプローチの仕方
ロスカットについての考え方ですが、大きく分けて2つのアプローチ方法があります。
ひとつは、マクロ的な視点を重視した相場主体でロスカットを設定する方法です。
そして、もうひとつはミクロ的な視点を重視した個別主体でロスカットを設定する方法です。
どちらが正解かというのはではなく、相場状況に応じて使い分けることが必要です。
実践ではこの判断が投資の難しくする要素のひとつなんです。
株式投資を始めたころにやってしまうのがこのパターンです。
大きな損失が絶対に避ける!というのを心に誓い、相場に向かうのですが、この場合は個別主体によるロスカットが前提となります。
この個別主体のロスカット設定は、相場状況によってはいわゆる損切り貧乏(ロスカット貧乏)につながりやすいのです。
ここで、損切り貧乏とは、ロスカットの設定があまりにもタイト(厳格に、小さな値幅)にするために、すぐにロスカットに引っ掛かり、小さい損失ではありますが、回数が増えて、結果的に損が膨らんでしまうのことを言います。
ロスカットの本質とは?
なぜ、ロスカットをする必要があるのか?
と問われるとなんて答えますか?
いろんな投資セミナーでも解説されますし、いろんな投資情報サイトで書かれていますが、ロスカットの本質的視点から考えてみてください。
答えは「リスクの解除」です。
簡単に言い換えると、リスクを切り離すことです。これが、ロスカットの本質です。結果として、損失がある一定以上の金額になることを回避できる、ということです。
ロスカットすることで得られる効果
ロスカットの本質などという難しいことは差し置いて、一般的にロスカットする意義としては、
1、投資資金を守ることができる
2、それ以上損失が膨らまないようリスクを限定できる
ですね。
ロスカットルールの設定について
では、より実践的にロスカットルールの設定の仕方について解説します。
まず、チャート分析が出来るというのでしたら、ロスカットポイントは節目に置くのがベストでしょう。
しかし、節目という概念はチャート分析の知識が必要なので、ここではより一般的なロスカットポイントについて解説します。
世間一般の現実的なロスカットポイントについてはこんな感じです。
1、絶対値(株価、%)
2、テクニカル指標(絶対値、方向性)
3、前回高値、前回安値
4、1~3を複数考慮
5、直感
トレードシナリオを組んだらロスカットルールは厳格に適用する必要がありますが、ロスカットルール決定に関しては、相場状況に応じて柔軟に決めましょう。
そもそも投資家はロスカットが苦手
プロスペクト理論ってご存知でしょうか?
難しい話はさておき、簡単に説明すると、従来の投資理論では説明のつかない投資家の投資判断が現実に即した形で解き明かした理論を言います。
もう少し具体的には、投資家は利益よりも損失の方に敏感に反応するという考え方です。
つまり、利益が出ている場合は損失回避的な利益確定に走りやすいということです。反対に、損失が出ている場合はその損失を取り戻そうと、より大きなリスクを取るような投資判断をしやすいということです。
もっと簡単に言うと、株式投資において購入した株式が値上がりするとすぐに利食いしがちですが、思惑が外れ値下がりすると購入した株価まで戻ってくるのを期待し、さらに損失を膨らますことが多いってことです。
相場格言にある、損小利大のトレードではなく、負けている人によくある損大利小のトレードになってしまうんですよね。
このように理論的にロスカットがしにくいことを知っておくと、少しはロスカット実行力が上がり、また上手いトレードが出来るようになりますね。
ロスカットが出来なくなる損失回避性とは
折角なので、プロスペクト理論の主軸となる損失回避性について説明します。
とても簡単ですので、ぜひ読み進めてください。ロスカットできなという心理が見えてきますよ。
損失回避性とは、言葉の通り、投資家は利益より損失を重く受け止める性質があり、その結果、損失回避の行動が優先されるという考え方です。
ここで、よく言われる単純明快な2択のゲームを考えてみましょう。問題は2つ。AかBか好きな方を選択してみてください。
第1問
A、無条件に友人から10万円もらえる
B、コインを投げ、表なら20万円もらえるが、裏なら何ももらえない
経済学でいう期待値を比べると、どちらも10万円であるため、経済学ではどちらでも同じと考えますが、実際には確実に10万円をもらえるAを選ぶ人が圧倒的に多いです。
20万円を狙い、その結果、何ももらえないというリスクを犯したくないという心理が働くのです。これが損失回避を優先するということです。
では、次の問題です。
第2問
A、無条件に友人に10万円を支払う
B、コインを投げ、表なら20万円支払い、裏なら支払い免除
この場合も、経済学でいう期待値を比べると、どちらも△10万円であるため、経済学ではどちらでも同じと考えますが、実際にはBを選ぶ人が多いです。
10万円という確実な支払い(損失)から逃れたいという損失回避ために、第1問の選択とは反対に、あえてリスクを負う選択をすることになるのです。
このようなプロスペクト理論を相場に落とし込むと、損失回避性という投資家の心理の偏りによって、損失に関してはリスクをとってしまうのです。
言い換えると、多くの人がロスカットが出来ないということです。
なので、我々はこのことを肝に銘じ、相場と対峙したいものですね。
ロスカット時の損失額は必要経費と考える
残念ながらどんなに実践を積んでも、知識を増やしても、ロスカットトレードがなくなることはありません。
とするなら、ロスカットは投資業における必要経費と考えるのが良いですね。
なので、ロスカット以上の利益を得るようなスマートなトレードを心掛けましょう!
まとめ

ロスカットの考え方、ロスカットルール設定の仕方について、如何でしたでしょうか?
ロスカット、ロスカットと簡単に言うけれど、簡単に実行できないのがロスカット。
意を決してロスカットするも、気分は最悪・・・
でも、ロスカットしないと資産形成どころではないという現実。
とするなら、腹を決めて相場に対峙するためにしっかりと勉強するしかないですね。
その上で、勝てるチャンスを見極め、損小利大のトレードシナリオを実行していきましょう。
裏を返せば、利が伸びるスイングトレードで値幅を狙うことも忘れずに!!