株式投資のナンピントレードとは?初心者でも分かるリスクとメリットの解説

ナンピントレードを上手く使いこなすために

1. ナンピントレードとは何か?

ナンピンの基本的な仕組み

ナンピントレードとは、株価が下がった時に同じ銘柄を追加で購入することで、平均取得価格を下げる投資手法です。たとえば、100円で買った株が80円まで下がったとします。この時、80円でさらに株を買い増すと、平均取得価格が100円から90円に下がります。このようにして、株価が少し回復しただけでも利益が出るように工夫するのがナンピンの目的です。

ナンピンの目的

ナンピントレードを行う最大の目的は、下がった株価の回復により、損失を早く取り戻すことです。株価が最初に購入した価格に戻らなくても、追加で買い増しを行うことで、平均取得価格を引き下げることができれば、少しの回復で利益を出せる可能性が高まります。つまり、株価が下がるたびに少しずつ買い増すことで、投資リスクを分散し、回復のチャンスを広げるというわけです。

なぜ「ナンピン」と呼ばれるのか

「ナンピン」という言葉の由来は、もともと囲碁や将棋の世界で使われていた「難局でのピンチを打開する手」のことです。株式投資においても、ピンチを乗り切るための戦略としてこの言葉が使われるようになりました。株価が下がるという「難局」を追加購入で「打開」しようとするため、この名前がついたのです。

2. ナンピントレードのメリット

平均取得価格を下げられる

ナンピントレードの最大のメリットは、平均取得価格を下げられる点です。株価が下がった時にさらに買い増しを行うことで、少しでも株価が回復すれば利益を得る可能性が高まります。例えば、最初に購入した価格が100円で、その後株価が80円に下がった場合、80円でさらに株を購入すれば、平均取得価格は90円となり、回復時に早めに利益を得ることができます。このように、少しの値上がりで損失を取り戻せるのがナンピンの強みです。

長期的な投資戦略との相性

ナンピントレードは、特に長期的な投資戦略と相性が良いです。株式市場は短期的には上下しますが、長期的には成長する企業や市場全体が回復することが期待されます。そのため、長期的に有望な企業に投資している場合、株価が一時的に下がっても、追加購入を繰り返すことで最終的なリターンを得る可能性が高まります。ナンピンは、急な株価変動に耐えつつ、長期的な成長を見込む投資家にとって有効な手段です。

チャンスが増える可能性

ナンピントレードを行うことで、株価が下がっている間に安く買い増しができるため、将来的に大きなリターンを得るチャンスが広がります。特に、市場全体が一時的に低迷している時や、個別企業の株価が一時的に下がっている時には、逆に買い増しのチャンスと考えることができます。ナンピンを上手く活用すれば、市場の低迷時にも冷静に投資を続けられます。

3. ナンピントレードのデメリット

損失が拡大するリスク

ナンピントレードには、当然リスクも伴います。株価が下がっている時にさらに買い増しを行うため、もしその株がさらに下がり続けた場合、損失が一層拡大することになります。たとえば、100円で買った株が80円に下がった時にナンピンし、その後さらに60円、50円と株価が下がっていくと、損失が大きく膨らんでしまいます。ナンピンは、あくまで回復の見込みがある場合にのみ効果的な手法であり、無計画に行うと逆効果になります。

資金が拘束されやすい

ナンピントレードを行うと、下がった株を買い増すための資金が必要になります。そのため、他の有望な投資先に回すべき資金が拘束されるというデメリットがあります。もし株価が下がり続け、回復が長期間かかるような場合、その間資金が動かせなくなり、別の投資機会を逃してしまう可能性もあります。したがって、ナンピンを行う際は、手元資金の余裕を十分に考慮する必要があります。

無計画なナンピンの危険性

ナンピントレードは計画的に行わなければ、かえって危険な結果を招くことがあります。株価が下がった時に感情的に買い増しをしてしまうと、冷静な判断ができなくなり、さらに株価が下がった場合に大きな損失を抱えることになります。ナンピンを行う前には、投資する銘柄の成長性や市場全体の動向をよく分析し、しっかりとした計画を立てておくことが重要です。

4. ナンピントレードが効果的な状況

長期成長が見込める株の場合

ナンピントレードが特に効果を発揮するのは、長期的な成長が見込める株の場合です。企業の業績や市場の成長がしっかりしているものの、一時的な要因で株価が下がっている時にナンピンを行うことで、将来の株価回復時に大きな利益を得られる可能性があります。このような場合には、追加で購入して平均取得価格を下げることが合理的な戦略となります。

市場全体の暴落時

市場全体が一時的に暴落することがありますが、そうした時期にナンピントレードを行うのも一つの有効な手法です。株式市場は長期的には回復することが多いため、全体が下がっている時に追加購入を行い、回復時に利益を得るチャンスが生まれます。ただし、暴落時にはその理由をしっかりと分析し、単なる一時的な下げなのか、それとも長期的な低迷につながるのかを見極めることが必要です。

資金管理がしっかりしている場合

ナンピントレードを成功させるためには、資金管理が非常に重要です。追加購入を行うためには余裕資金が必要であり、無理に資金を投入すると、他の投資機会を逃してしまうことになります。資金管理がしっかりしていて、計画的にナンピンが行える場合には、リスクを抑えつつも効果的な投資手法となります。特に、株価の底を見極めるのは難しいため、少しずつ段階的に購入することでリスクを分散することが重要です。

5. ナンピントレードを成功させるためのポイント

投資する企業のしっかりした分析

ナンピントレードを行う前に、投資対象となる企業の業績や成長性をしっかり分析することが欠かせません。企業が長期的に成長する見込みがあれば、株価が一時的に下がっても、ナンピンを行うことで回復時に大きなリターンを得られる可能性が高まります。しかし、成長が見込めない企業にナンピンを行うと、損失が増えるだけです。財務状況や業界の動向など、広範な情報をもとに慎重に判断することが重要です。

資金管理を徹底する

ナンピントレードは、資金が無制限にあるわけではないため、計画的な資金管理が不可欠です。最初に購入する時点で、追加購入する余裕資金を確保しておくことが大切です。また、ナンピンするタイミングや金額も慎重に決める必要があります。一度に多額の資金を投入するのではなく、段階的に分散して買い増すことで、リスクを抑えながら投資を続けることができます。

感情に流されない

株価が下がると不安になり、感情的に取引をしてしまいがちですが、ナンピントレードでは冷静な判断が求められます。感情に流されて無計画にナンピンを続けると、損失が膨らむ危険性があります。あらかじめ投資計画を立て、どのタイミングで追加購入を行うか、あるいは損切りするかを決めておくことで、感情に左右されずに投資を進めることができます。

ABOUTこの記事をかいた人

独自のチャート分析をもとに相場を張っている現役トレーダー。チャーチストと言われるにもかかわらず、ファンダメンタルズ分析やヒストリカル分析にも詳しい。中でも暴落・暴騰分析は抜群である。メルマガでの的確な天底予測では多くの読者が驚愕する。セミナー講師としても引っ張りダコ。登壇回数は800回を超える。相場の本質を突いた解説はプロからも定評がある。書籍は出せば売れると業界でも注目株。2020年7月に6冊目の新刊が発売されている。